書評 仁義なき宅配 ヤマトvs佐川vs日本郵便vsアマゾン

投稿者: | 2019年4月5日


タイトル:仁義なき宅配 ヤマトvs佐川vs日本郵便vsアマゾン(小学館)

著者:横田増生

ジャンル:ノンフィクション

読んだ理由と概要

物流を学ぶために読んだ。

教科書的な仕組みや歴史ではなく、ヤマト運輸佐川急便といった実際に知っている企業のノンフィクション作品を読むことで興味を持とうと思った。

徹底した現場取材をもとにした臨場感のある作品。著者は宅配の軽トラや幹線輸送車に同乗したり、ヤマトや佐川にアルバイトで潜入したりしている。

普段宅配を利用するだけではわからない宅配業界の過酷さが見えてくる。かつては「佐川で3年働けば家が建つ」と言われたほどに過酷ながらももうかっていたというが、今や過当競争によって利益は薄くなり宅配業の労働者や下請け業者は犠牲を強いられているという。

宅配便の主要業者3社と通販サイト大手Amazonを中心にその歴史や事件からそれぞれの関係性を描いた作品。


感想

生活に欠かせなくなった宅配便。

あたりまえのように「送料無料」や「無料での配送時間指定」を利用している。

人手がかかっている以上「送料無料」はありえないと改めて認識できた。

無償で配送時間を指定したり、そのうえで指定時間に不在であってもペナルティがないなど、約束として不公平だと考えさせられた。

宅配業界の歴史や仕組みを垣間見ることができたが、どこか無理のある現状だと感じた。

また、ヤマトや佐川の創業についても触れており物語として面白みがあった。

ヤクザじみた佐川と育ちのいいヤマトという感じだった。

文章は公平で何かを悪者にしたり貶めたりはしていないが、「こんなこと書いてもいいの?」と思えるような内容もあり興味深かった。


内容

タイトルのとおり、ヤマト、佐川、日本郵便それぞれの特徴がよくわかる内容となっている。

そしてそれぞれがAmazonとの関係で苦慮していることがわかる。

 

佐川は創業者がたったひとりではじめたらしい。

通常のトラック業者なら、嫌がるような、荷扱いに細心の注意が求められる精密機械の運送を、飛脚として担いで運んでゆく。

引用-仁義なき宅配

本当に飛脚のような仕事から始まっている。その後の「成り上がり」までの法的にグレーな部分も記述されている。

 

ヤマトは3つのイノベーションを経て現在に至るらしい。

最初のイノベーションと位置づけるのが、一九二九年に開始した<大和便>である。第二が宅急便の開発であり、第三が現在進行中の羽田クロノゲートを中心とした<バリューネットワーキング構想>となる。

引用-仁義なき宅配

巨大な物流拠点での深夜バイトのおかげで翌日配送が成り立っている様が描写されている。著者本人が羽田クロノゲートにアルバイトとして潜入取材をしている。アルバイトによってどのように仕分けられるのか、どれほど過酷なのか、外国人労働者への依存度がどの程度なのかが生々しく描写されている。

羽田クロノゲート

 

また現在の便利さに比べて昔の不便さも垣間見える。

当時の”お上”による小包配送は、使い勝手が悪かった。梱包をしっかりしろ、縄をかけろ、送り状を二枚書け―などという対応で、「運んでやる」といわんばかりだった。

引用-仁義なき宅配

お上(郵政や国鉄)が独占していたころはずいぶんと不便だったらしい。


まとめ

物流の勉強のために読んだが、単純に読み物として楽しめた。

物流大手の歴史やそれぞれの関係性を大まかながらに理解できるし、それぞれのキーマンの物語も読める。

今や生活インフラとなった宅配便の現在のありようを知ることができる。

宅配のありがたみとその業界で働く人々の過酷さを再認識させられる一冊。


<横田増生 – その他著作>

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